分権推進と自治の展望

 編者 田村悦一・水口憲人
     見上崇洋・佐藤満
 判型  A5 
 頁数 247ページ 
 本体価格 ¥3,900+税
 出版社 日本評論社

はしがき
 本書は、立命館大学政策科学研究科発足時から活動を続けてきた地方分権に関する「リサーチプロジェクト」による成果を取りまとめたものである。
 政策科学部は1994年に設立され本年で10周年を迎えた。本書も学部創立10周年記念事業の一環として出版されたものだが、研究科は学部の完成年度を待たず1年前倒しで設置されたので、発足以来7年を経過し8年目に入っている。 政策科学研究科はマスターコース修了に必要な30単位のうち、2年在籍すれば16単位になる「リサーチプロジェクト」と呼ぶ演習を中心に運営しており、これは、複数教員による特定の研究課題を設定した研究事業を進め、これに院生を参加させて指導するという形態である。このユニークな大学院科目は3・4年ごとに研究テーマを変え、メンバーシップをリシャッフルすることにしてい るが、設立以来、地方分権にかかわる課題をテーマとするプロジェクトは一貫して置き続けられている。90年代より浮上した構造改革・分権改革の課題は、攻策実践の上でも重要であり、研究テーマとして常に新鮮なものであり続けているからである。
 この間、政策科学研究科は多くの修了生を世に出してきた。なかでも地方分権を課題とするわれわれのリサーチプロジェクトには地方公務員などが現職のまま受講生として参加し活発に議論を交わしてきたので、学部卒の進学者は彼らとの議論を通じて、中央・地方の公務員が分権改革・構造改革の進む中、どのような課題に立ち向かっているのかの認識を新たにすることができた。また、2002年度、2003年度には、このリサーチプロジェクトの教員が中心になって、全国の知事をゲストスピーカーとして招き、学部で講義をしてもらう「知事リレー講義」の企画を実施してきた。結果として、われわれのリサーチプロジェクトから、研究者はもちろんだが、中央・地方の公務員や報道関係などに進出ずる人材が多く育つことになった。
 修了生が提出した修士論文には優れたものが多く、一部は『政策科学』に掲載されたが、この機会に、地方分権に関わるテーマ設定の修士論文にそれぞれ原著者によって手を加え(うち一編だけが事情により編者による整理を行った:第3部第1章後書き参照)、本書を編むこととした。政策科学研究科のいわゆる分権リサーチプロジェクト7年の成果をまとめるとともに、現在もなお進行中の分権改革の課題について、さまざまな視点からの問題提起を行うことが目的である。
 最後に、本書の筆頭編著者をお引き受けいただいた田村悦一先生への感謝を記させていただく。このリサーチプロジェクトに最初から関わり、今なお籍を置いているのは佐藤だけになったため、この「はしがき」を書かせていただいているが、起ち上げの時期から一貫して教員・院生の集団を指導していただいた田村先生には関係者が等しく尊敬と感謝の念を捧げているところである。先生には編者として本書の編纂にもカをお貸しいただいたが、この紙面を借りて改めてこれまでのご指導に本リサーチプロジェクトー同の感謝を捧げたい。
  また、出版事情厳しき折から、この企画を検討し、快く出版をお引き受けいただいた日本評論社編集部の中野芳明氏にも感謝したい。

2004年12月編著者を代表して 佐藤 満

 

目次

第1部 分権改革と地方自治
第1章 分権推進と地方自治の理論・・・・・・・・・・・・水口憲人
第2章 分権改革の現段階と課題・・・・・・・・・・・・・佐藤満
     市町村合併をめぐって
第3章 地方自治法改正と中央地方関係・・・・・・・・・・田中靖之
     分権改革の理念と実態

第2部 合併と地方自治の制度基盤
第1章 市町村合併の分析を通じてみた中央地方関係・・・・八馬伸介
第2章 平成の合併の特質と地方自治・・・・・・・・・・・春木 崇
第3章 合併パターンと市町村の規模・能力・・・・・・・・水田敦士
第4章 広域連合の展望・・・・・・・・・・・・・・・・・新家秀雄
第5章 地方分権時代の都道府県の役割・・・・・・・・・・嶋崎健一郎

第3部 自治の新たな仕組み
第1章 自治基本条例論・・・・・・・・・・・・・・・・・橋本桂子
第2章 広域行政計画と住民参加・・・・・・・・・・・・・田村悦一
     河川整備計画手続の適正化
第3章 条例制定の新たな展開・・・・・・・・・・・・・・見上崇洋
第4章 高齢社会の政策展開・・・・・・・・・・・・・・・今井久人
     老人保健事業にみる事業評価のあり方

第4部 住民自治と市民
第1章 自治体における地域共創・・・・・・・・・・・・・畑 和広
     市民参加の光と陰
第2章 分権社会における大都市行政と都市内分権・・・・・吉村 悟
第3章 地方議会論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉田健一



執筆者一覧
執筆者紹介(掲載順)
水口 憲人(みずぐち・のりひと) 立命館大学法学部教授

佐藤 満 (さとう・みつる)  立命館大学政策科学部教授

田中 靖之(たなか・やすゆき) 京都府職員

八馬 伸介(はちうま・のぶゆき) 大阪市職員

春木 崇 (はるき・たかし) 大阪市職員

水田 敦士(みずた・あつし)  自治体コンサルタント

新家 秀雄(しんけ・ひでお) 茨木市教員

嶋崎健一郎(しまさき・けんいちろう) 京都府職員

橋本 桂子(はしもと・けいこ) 元京都市職員・故人

田村 悦一(たむら・よしかず) 京都橘女子大学文化政策学部教授

見上 崇洋(みかみ・たかひろ) 立命館大学政策科学部教授

今井 久人(いまい・ひさと) 株式会社マチュールライフ研究所代表

畑  和広(はた・かずひろ) 大阪市職員

吉村 悟 (よしむら・さとる) 大阪市職員

吉田 健一(よしだ・けんいち) 財団法人四国民家博物館企画・広報担当ディレクター