![]() 「老人保健福祉部会」傍聴記(平成10年10月12日)(H10.10.17更新) 医療保険福祉審議会の「老人保健福祉部会」が、過日開催された。 市長会や町村長会代表の委員からは、「事務効率を上げ、徴収を確実にするためにも限度額を下げ、月額1万円からでも特別徴収にして欲しい」という意見が出された。また、「残り30%の普通徴収対象者の、未徴収対策を国に示して欲しい」という意見も聞かれた。他の委員からも、「いずれにせよ納めなければならないものであれば天引きにしてもらう方が、便利」という意見も出された。問題は、未納の発生する恐れのある無年金者や低所得者などの普通徴収者対策で、徴収率が悪いのは市町村など保険者の怠慢で片づけられてはかなわない。それらの方たちへの救済策は従来の福祉で救うのかどうなのかを示して欲しいという意見であった。 厚生省としては、そのために財政調整基金を準備しているというが、いずれにしても借りたお金は返さねばならないのであって、もっと根本的な対策を示して欲しいということであった。
また、老齢年金よりも遺族年金や障害者年金受給者で年額36万円以上の方が多くいる現実から、今すぐでなくても今後法律で公租公課を禁じている遺族年金や障害者年金の法律を変えてでも、広く国民から負担を求めるべきではないかという意見が聞かれた。 保険料未納者に対する滞納者対策では、従来の世帯課税という方法が現実では世帯分離で機能していないため、世帯に対する対策を講じて欲しいという意見がいつものように出された。他市町村分の未払い保険料も徴収消滅期間として対象としないなど、未払い者に関して、大都市部においては転入転出対策なども大きな問題であるという意見が出された。また、サービス利用をしている人にサービスの一時停止などペナルティを現実的に課せるのか、運用面での懸念も聞かれた。
今回の審議会は、問題が保険者たる市町村にとって切実な事項であるため意見が活発に出たが、厚生省側としてはその意見に沿って具体的に見直してみますとか、法律を変えるよう努力しますというような前向きな回答はなく、いつものように言い放し、聞き放しという感じがしてならなかった。審議会に出されている検討課題はいつも(案)がすぐとれるような形で出てきており、大きな変更がなされたことは無いように思う。 現に、翌日の日経新聞の記事には特別徴収も年額36万円で固まるというような見出しで、あたかも審議結果が出たような表現が取られていた。実際には、様々な意見が出されているのに(案)がいつも一人歩きをしているような気がしてならない。
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