伸びないサービス利用。民間事業者の苦戦を裏付ける。
(H12.8.9更新)
介護保険制度施行から、はや4ヵ月が過ぎ、様々な諸問題が浮かび上がってきている。 当研究所では、独自に近畿圏2府4県の322の自治体に対し、施行後の在宅サービスの利用状況等についてアンケート調査を実施している最中である。
最終締め切りはまだであるが、これまで返送されてきたアンケートから中間報告をしてみたい。
近畿圏という条件付きながら、以下のような傾向が現れている。
認定者数については、3月以前と比較して4月以降で「増えた」43.9%、「あまり変わらない」43.9%、「減った」10.3%となっている。
要介護認定者の高齢者全体に占める割合は、「10%〜13%」がほぼ全体の64%以上を占め、続いて「10%以下」が23%となっている。要介護度の分布状況は、「国の分布とほぼ同じ」41%、「重度の人が多い」54%となっている。
介護認定者の利用状況をみると、支給限度額の「3〜4割以上」が最も多く54%、ついで「5割〜6割」が約25%となっている。低い利用に留まっている理由としては、「利用者の意識が依然と変わっていないから」が最も多く38%、「自己負担が重く、利用抑制がされている」が33.3%、「介護保険制度が十分理解されていないから」が28.2%となっている。
また、民間事業者の活動状況は、「当初の予定より利用者が獲得できず苦戦している」が46%以上もあり、採算ベースの載せることが難しい状況におかれている。
これらの数字から見る範囲では、介護認定を受けている人は、4月以降やや増えており、その比率は各自治体における高齢者の約10%〜13%の範囲であることが多い。また、その介護度も国の分布と同様及びやや重い分布の自治体が多い。しかしながら、その利用度は支給限度額の4割程度と低く、民間事業者の目算が大きくはずれていることが裏付けられている。
これは、介護の社会化現象が起きず、介護者本人や家族の意識が相変わらず措置を中心とした福祉観の継続がなされていることが大きな原因となっている。その他にも、自己負担による利用制限がネックとなっていたり、家族が相変わらず介護しており、外部からのサービス利用が伸びず、市場が拡大していない。
その他、制度が複雑で十分理解されていないという意見も多く、介護保険制度が、高齢者をはじめ国民にとってまだ身近な制度になっていないことが大きな原因になっている。
制度施行前や施行後の各自治体での啓発活動は十分とは言えないが、今後10月から第1号保険料の徴収により、高齢者の直接的な負担が始まり否応なしに関心が高まることが予想されるため、介護保険制度をもっとわかりやすい広報や啓発手段を工夫し、周知と理解をコツコツ進めていくことが介護保険制度を育てていくために重要である。
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