介護保険制度の抜本的見直しが始まる!! 　 （2003.5.19更新）

　2000年４月に施行された「介護保険制度」も当初３年の第１期目を経過した。
　2002年11月末の65歳以上の被保険者は2,364万人を数え、要介護認定を受けた人は、333万人と高齢者全体の約14％を占めている。その内、要支援・要介護１の認定を受けた人が大幅に増加し、それぞれ47万人、101万人と合わせて148万人となり、認定を受けた人の約44％を占めている（全国高齢者保健福祉・介護保険関係主管課長会議資料H15･2･25）。

　厚生労働省は、様々な課題はあるものの概ね順調に推移しているとみており、来るべき高齢社会に備え「介護の社会化」を掲げた当初の目的は一応の成果をあげているといえる。
　しかし、今後においても65歳以上の高齢者が増え続け、介護認定を受ける人の割合も上がり、介護の社会化が進むにつれ保険給付もますます肥大化していくことが予想されている。
　当面は、走りながら考え、転びながら直すといわれ、まずはスタートすることが優先された介護保険制度であるが、介護保険法附則第２条に施行後５年を目途に検討を加え必要な見直しを行うとの規定が設けられている。

　先ごろ、社会保障審議会において、介護保険制度の見直しを検討する「介護保険部会」の設置が了承され、2005年３月までには改正された介護保険法が出るようである。
　そのための法案提出を2004年度の通常国会とすると2003年度中にはその骨格が示されることになる。
　巷間いわれている検討の主なものとして、１）障害者福祉が含まれるかどうか、２）現在40歳以上とされている第２号被保険者の範囲を20歳以上に引き下げるかどうか、３）在宅介護を理念にしながら施設介護の希望が多くあることから、利用者の自己負担を在宅１割、施設２割というように差を設けるか、４）その他、給付内容及び水準など制度全体の根幹にふれる問題について検討が加えられるようである。
　特に被保険者の範囲を20歳以上に引き下げるためには、給付対象の範囲を広げる必要があることから、障害者への介護保険導入がセットで議論されている。
　この４月からはじまった支援費支給制度はそのための準備段階ともいわれているのである。さらに、浅野宮城県知事をはじめ北川元三重県知事、片山鳥取県知事ら改革派といわれる７知事の障害者福祉を介護保険制度のなかに取り入れるべきであるとする動きは、具現化の方向での強い応援団である。

　介護保険ではじめて取り入れられたケアマネジャーは、障害者のケアにとってもケアマネジメントに有効であり、必要とされている。もっとも、障害者が介護保険制度の対象者となった場合には、介護が画一化されるのではないかという不安が障害者団体にあるため、障害者用に別途メニューを設定しなくてはならないといわれており、今後の経緯を見守りたい。（H.I）