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ボタン 介護保険法案成立と今後の啓発(H9.12.10更新)

 いよいよ介護保険法案が成立した。
保険料や介護報酬などほとんどの具体的な内容は今後の検討とされ、取り合えあえずは大枠だけを固め、平成12年4月施行ということだ。
介護の社会化という問題を解決するため、租税による措置制度から保険料による社会保険方式でこれからの高齢社会を乗り切るための制度である。

過日の日経新聞では、平成6年に細川内閣で「国民福祉税構想」が撤回されてから急に浮上したように書かれているが、筆者の知るところではもっと前から厚生省内部で社会保険方式の導入が検討されていた記憶がある。その当時から、老人病院での費用と老人保健施設での費用や特別養護老人ホームでの費用を何とか同じレベルで評価したいとの思いがあったようだ。
穿った見方をすれば、消費税のように世間の耳目を集め、ヒステリックな世論でもみくちゃにされるより、給料や年金などからの天引きで痛み無く徴収され、しかも政省令で細部が決まる社会保険方式のほうが厚生省にとってもベターな選択であったろうと思わざるを得ない。

 いずれにせよ法案成立まで、約2年にわたって審議会で議論され、各地で公聴会が開催されていたが、保険料を納める市民レベルの人たちの「介護保険」における認識は、まだまだ不十分であると言わざるを得ない。
保険料を払うと同時に、権利として保険証の交付を受ける医療保険と違い、保険料を払っても必ずしも保険給付が保証されず、介護認定を受けたのちレベルごとの給付になるという保険そのものの仕組みが浸透していない感がする。

 筆者は、たまに市町村の民生委員さんなどを対象にセミナーなどで話す機会があるが、言葉として「介護保険」の理解はあるが、保険料と給付レベル等についてはどうも今ひとつ理解がされていない気がすることが多々ある。保健福祉のパイプ役である民生委員さんですらこの程度の理解であるなら、一般市民の理解はこの半分も無いのではないかと危惧するのである。
保険者となる市町村の心配は、保険料の円滑な徴収とそれに見合うサービス提供のバランスをどのようにとるのか?一時的にせよそのアンバランスな状態での市民からのクレーム(なぜ認定を受けられなかったのか、なぜ介護度が違うのか等の説明を求められる)に適切な説明が出来るかどうかを今から心配している。

権利を手にしたとき、住民の福祉サービスの要求は、措置制度にける「与えられる福祉」とは大きく違い、かなりのトラブルが発生することが予想される。
各自治体は、法案成立した今から、個別に行政区ごとに巡回してでも、この「介護保険」の持つ意味、仕組みや役割などを住民、特に高齢者の啓発と理解を得るようにすることが、今後のためにも大変重要であると考える。


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