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介護サービスの量と質の確保(内憂外患)   (2003.8.7更新)

 介護保険の認定者数が増えている。特に要支援と要介護1の伸びが大きい。また、介護サービスの受給者数の伸びは、在宅サービスが施設サービスを上回り、特に痴呆対応型共同生活介護や訪問介護の伸びが大きいことが、先ごろの社会保障審議会介護保険部会で報告された。

 利用者の伸びにともない、介護サービス事業者数も増えている。2003年4月末では、訪問介護17,592ヵ所(前年同月比+15.3%)、通所介護〔デイ11,670ヵ所(前同月比+15.2%)、通所リハ5,828ヵ所(前年同月比+2.4%)〕、痴呆対応型共同生活介護2,944ヵ所(前年同月比+60.1%)などの伸びが著しい。政府の2004年度目標では、ホームヘルパー350,000人、通所介護26,000ヵ所、痴呆対応型共同生活介護3,200ヵ所となっており、痴呆対応型共同生活介護を除いて、まだまだ事業者の参入の余地が見込まれている。
 需要の拡大から、各事業者とも事業拡大にあわせてヘルパーの採用を大きく増やすところが多い。しかしながら、思うように応募が集まらず、離職率もかなり高いのが実情である。

 日経新聞社が独自で実施した介護事業調査結果によると、ホームヘルパーを使う事業者のうち4割近くが「ヘルパーが不足している」と回答している。また、多くの事業者が「ヘルパーの成果に応じた報酬制度や能力給の導入」を考え、人材確保に向けた雇用環境の整備に努めている。大手事業 者では、この4月の介護報酬の見直しで増える売り上げ分をヘルパーの賃金へ還元するなどヘルパーの給与引き上げの検討をはじめ、雇用環境の改善に着手し人材の確保に努めている。

  一方、厚生労働省によると、グループホームについて2004年度までの義務付けを打ち出している外部評価を拡大する考えである。ホームヘルパーによる訪問介護など全ての介護保険事業者に対し、外部の客観的な評価を受けることを義務付ける制度を導入する方針である。来年度からモデル事業で実施し、数年以内に全事業者を対象に実施する。

 この新しい制度は、在宅や施設の全サービスについて、都道府県が指定した評価機関から年1回、評価を受けることを義務付けるものである。具体的には、サービス評価機関の評価員が介護現場を訪ね、サービスごとに介護方法や利用者の痴呆などの進行を抑える工夫の有無、苦情対応など、数10項目について評価し、「格付け」をするものである。これに事業者の自己評価を合わせた総合評価をインターネットなどに公表することにより、利用者に選ばれる事業者をめざし、良質なサービス競争が働くことを期待している。また、外部評価を通じ、不適切なサービスをしている事業者が排除され、介護保険給付費の無駄を省き、介護保険財政の悪化を防ぐ効果も見込まれている。
市場の拡大にともない、ヘルパーなどの人材確保が難しくなる一方で、外部評価の導入から更なる質の向上を求められ「内憂外患」状態はそこまで来ている。雇用改善に努め、ヘルパーの質の向上をいかに図るかが「格付け」時代に生き残るために事業者に求められている。


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