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「介護保険制度」見直し〜その後の動き〜   (2003.12.29更新)

 現在、社会保障審議会介護保険部会において月1回のペースで介護保険制度の見直しが検討されている。徐々に問題点が絞られてきており、前号に続き在宅サービスに関する委員の意見を中心にこれまでの中からいくつか紹介する。

1.「被保険者の範囲では、給付のあり方を見直さずに安易に被保険者の範囲を広げるべきではない。年金、医療、介護とも現役世代の負担が増え、また若年・高齢世代には資産格差もあることを考えるべきである。」と第2号被保険者の対象年齢を現行の40歳から30歳に引き下げるなどの対象範囲の拡大案に対して慎重にすべきであるという意見が出された。

2.給付費の水準では、「介護保険の給付を基本的な部分に絞るとともに、利用者が追加費用を支払うことで付加価値の高い保険外サービスを利用できる仕組みも必要ではないか。」というように給付費の増加を危惧し、上乗せや横だしサービスの充実を自己負担という保険外サービスとして行なう意見が出されている。

3.要支援の取り扱いで介護保険の枠外のサービスで対応できないかという意見に対し「要支援を介護保険から外すのは時期尚早。もっと要支援の取り扱い、介護予防のあり方を検証すべきである」という意見が出ている。また、「要支援や要介護1の問題を議論する時には、在宅介護 支援センターや市町村の独自事業などのあり方を整理することが必要」という意見も出されている。

4.サービスの質の確保については、「ケアマネジャーの受験資格の見直しが必要では」、「住宅改修・福祉用具の適正化のためにも、両方に詳しいケアマネジャーが必要」、「施設には介護計画、看護計画があることから、今後は、ケアマネジャーは在宅に特化していくべき」などケアマネジャーの役割に関する意見が出されている。人材育成などでは、「現在の運営基準は常勤換算方法をとっているが、非常勤ばかり増加する事態となっている。職員の勤務形態と資格について議論すべき。また、施設関係者の資格についても議論すべき」など、登録型が主流の現状において、労働者の労働条件や労働環境の向上に関する意見も出されている。

5.在宅と施設のあり方では、「ホテルコストは自己負担とするなど利用者負担の見直しを行い、在宅との公平性を図ることが必要である」や「現在の仕組みで持続可能性を確保するためには、利用者負担をどのように引き上げていくかを考えるべき。ホテルコストの負担の問題については、かなりコンセンサスが出来たのではないか」など概ね施設利用者への負担増を承認する意見が多く出されている。

6.その他では、「痴呆については、介護予防・要支援程度のところで何らかの効果的支援が必要」や「老人性痴呆疾患センターの機能やグループホームにおける重度の要介護者(4.5)のケアのあり方を議論する必要がある」などの意見が多く出されている。今後明確な方向へは、まだまだ紆余曲折があり、前途は多難なことだけは確かである。


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