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介護保険制度見直しの原案提示される   (2004.4.5更新)

 既に報道されているように厚生労働省は、17年に予定している介護保険制度見直し原案をまとめた。
 主な項目を下記にあげる。いずれの項目も、社会保障審議会介護保険部会でこれまで10回程度議論されてきたものの整理である。

○給付のあり方では、
・要支援・軽度の介護者へのサービス給付を、筋力トレーニングなど介護予防に重点を置くように見直す。(重度化への改善率の向上)
・在宅介護を継続できるよう家族に対する支援体制(相談、夜間対応)を整備する。
・施設入所者は、重症者に重点を置く。(施設機能の見直し)
・施設の個室化を進める。

○負担のあり方
・1号被保険者の介護保険料を、負担能力により細分化。(5段階から7段階へ)
・特別徴収の対象を老齢年金に加えて、遺族年金、障害者年金にまで拡大する。
・施設入所者に対しては、住居費、食費を給付外とし、在宅との負担格差を是正する。

○制度運営のあり方
・介護事業者の指定を6年ごとの更新制を導入。(運営実態の点検、悪質事業者の排除)
・事業者への立ち入り権限を都道府県に加えて、市町村にまで拡大。(不正請求の防止)

○被保険者の範囲(次年度継続検討)
・2号被保険者の対象年齢の引き下げ。(20歳以上)
・障害者支援費制度との統合。
などである。

事業者性悪説
 このような見直しは、制度施行当初の見込みから大きく増え続ける給付費に対し、制度の維持を図るため、給付を抑え、負担を重く広くということに他ならない。給付費が増えている主原因は、事業者のニーズの掘り起しが行き過ぎているとの業者性悪説に基づく見直しのようである。一部の福祉用具事業者が、要支援の利用者へ電動ベッドのレンタルを勧めている現実があることは否定しない。一方では、利用者のモラルハザード的な制度利用も多い。「使わなければ損」というように、何でも借りれば得というように、安易に福祉用具を希望する利用者も多い。利用者本位を標榜している制度上、認定を受けている人に業者側から不要とは言えない現実もある。無駄な給付を抑える「給付の適正化」も重要であるが、利用者負担を重くする利用の抑制よりも、「利用の適正化」を図る社会教育も進めることが重要ではないか。利用者性善説、事業者性悪説では、制度の維持はますます難しくなる。


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