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介護サービスの第三者評価の現状(2004.9.7更新)

現状の取り組み
 介護保険制度の基本理念である「利用者本位」を進めるため、利用者が多様なサービス提供主体から適切なサービス事業者を選択出来るように、介護サービス事業者の情報公開や第三者評価に関する取り組みが、「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究事業」として、大森 彌(千葉大学法経学部教授)委員長のもと調査研究委員会で進められている。
  16年3月には中間報告書「利用者による介護サービスの適切な選択に資する情報開示の標準化について」を出し、6月には一次モデルとして7県、96事業所を対象に、事業所情報開示項目の妥当性について実地調査を行った。また、10月以降は47都道府県の1,222事業所を対象に調査の実施方法、開示項目の妥当性、調査員の資格要件やカリキュラムなどを確認する予定である。

情報開示の標準化
 情報開示の標準化において、その基本的な考え方といしては、まず「情報開示の徹底のため全ての事業所についての標準化された情報の定期的な開示」、続いて「事業所が現に行う事柄(事実)を前提として、第三者が客観的事実に基づき確認できる事項とし、その調査結果の全ての開示」。そして、3つ目は、「介護保険制度の基本理念を現実のサービス利用において保障するための環境整備であり、事業所の格付けやサービスの画一化を目的とするものではない」である。 開示項目は、事業所自らが記入する「基本情報項目」と調査員が事実確認を経た「調査情報項目」の2つからなる。
 まず、「基本情報項目」は、事業所に関する基本的な事実情報であって開示だけで足るような項目(法人名、事業所・施設名、所在地、営業時間、職員数、居室面積等)とされているが、案を見ると20ほどの項目がある。訪問介護を例に取ると要介護ごとの利用者人数(請求実績)、サービス提供実績(ある月の1ヶ月の身体中心、生活援助中心などの提供時間など)、従事者の人数(資格別、常勤、非常勤別)、従事者の増減(採用者数、退職者数)、損害賠償保険の加入の有無、利用者アンケートの実施と結果の開示など、多岐にわたっている。
 次に、「調査情報項目」では、サービスの内容・水準の確保、サービスの質を確保するための組織・運営の2大項目、そこから派生するサービスの質、利用者本位のサービスの提供、事業所運営の基本や情報の管理など13の中項目、その関連の37の小項目からなっている。
  「情報開示の標準化」が焦点になっているが、基本情報項目では、介護度ごとの利用者人数、従事者の増減、法人の売上高、経常利益などの財務内容と詳細な情報開示を求めている。そもそも指定サービス提供者として基準を満たして申請を行い、その上で指定を受けている事業所に対し、これでは透明度を増すというより、まるで取り調べで素っ裸になれといわんばかりである。事業者は油断がならず性悪で、利用者は人の良い性善でだまされやすいという短絡的な思いから保護の行き過ぎではないか。これでは、かえって角を矯めて牛を殺すことになりかねないのではないか。賢い利用者の選択眼による事業者の選別可能な項目であればと、今後の経緯を見守りたい。 


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