新予防給付対象者の選定
(2005.5.2更新)
さる4月12日に開催された「全国介護保険担当課長会議」に資料には、要介護認定における新予防給付対象者の選定についての方法や状態像などの考え方が示されている。
新たな認定調査方法を検討するスケジュールとして6月ごろ全国から選ばれた65の自治体でモデル事業(一次)が実施され、調査時点で要介護1である者を任意に抽出し、認定調査などをおこなう。その後、全市町村を対象とした二次モデル事業が11月をめどに行われる予定である。
新予防給付の選定は、要介護認定の枠組みのなかで、現行の要介護状態区分の審査に加え、高齢者の「状態の維持・改善可能性」の観点を踏まえた明確な基準に基づく審査・判定を通じて行うとされている。
その対象者は、現行の「要支援者」すべてと「要介護1」に該当する者のうち、心身の状態が安定していない者や認知症等により新予防給付の利用に係る適切な理解が困難な者を除いた者が考えられている。
その新予防給付の適切な利用が見込まれない状態像は、以下のようなものとされている。
(1)疾病や外傷等により、心身の状態が安定していない状態
・脳卒中や心疾患、外傷等の急性期や慢性疾患の急性
増悪期で症状が不安定な状態にあり、医療系サービス等の利用を優先すべきもの
・末期の悪性腫瘍や進行性疾患(神経難病)により、急速に状態の不可逆的な悪化が見こまれるものなど
(2)認知症や思考・感情等の障害により、十分な説明を行ってもなお、新予防給付の利用に係る適切な理解が困難である状態。
・痴呆性(認知症)老人の日常生活自立度が概ねU以上であって、一定の介護が必要な程度の認知症があるもの
・その他精神神経疾患の症状の程度や病態により、新予防給付の利用に係る適切な理解が困難であると認められるもの
このように新介護予防給付が除外されるという人の状態像をみると、急性増悪などで状態像が変動しやすい人や末期がんなどで改善が期待できない人や認知症でレベルがU以上で利用に係る理解ができない人などである。現行の要支援、要介護1のなかで上記のような状態象の人がどれぐらいあるかと言えば、該当者は限りなく少ないということが推察される。見方をかえれば大部分が状態の「改善可能性」が期待できる「廃用症候群」の状態であるため新予防給付へ移行する対象者であるといえる。
現在、訪問介護事業を行っている事業者は自社の利用者をあらためて見直し、その対象者を把握する必要があるだろう。
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