韓国も介護保険へ!
(2005.6.3更新)
去る5月26日の朝日新聞の記事によると、韓国でも高齢化が進み日本を上回る勢いで高齢化が進んでいるという。また、近年では大家族主義が薄れ、ウリ党を支持する30・40歳代とハンナラ党を支持する高齢者層の世代間対立が鮮明になっていると報じている。
現在、韓国では、将来の高齢社会に備え、2007年を目処に介護保険制度の準備に入っており、さらにはシルバー産業の育成を促す方針であるとも報じられている。
今回は、アジアにおける福祉先進国として韓流ブームにあずかり、近隣国の介護関係のビジネスチャンスのヒントとして韓国の高齢者福祉を簡単に概観する。
伝統的に「敬老孝親」の思想が根強い韓国では、その国民意識を美徳として社会問題の解決に利用してきた。高齢者の扶養は全て家庭の責任であり、社会が介入することは越権行為といった認識であった。
韓国の福祉制度は、1960年以来、軍事政権下で「強い国家」を目指し、福祉を政治的な目的で整備されてきたが、1987年の民主化以降拡大期を迎える。
韓国の老人福祉法は、日本に遅れること約20年の1982年に施行された。その後、1997年に改正された老人福祉法は、老人の疾患を予防、または早期発見し、その症状にあった適切な治療・療養を通して心身の健康を保ち、老後生活の安定のために必要な措置を講じ、高齢者の保健福祉増進に寄与することを目的としている。
その内容として、高齢者福祉サービスの全般的な内容を規定しており、行政が福祉サービスの措置権を持ち、高齢者に対する相談、指導、福祉サービスの提供、施設への入所・委託などを行うこととなっている。
在宅福祉サービスでは、ホームヘルパー派遣事業、ホームヘルパー教育訓練、デイサービス事業、ショートステイ事業など、日本で行われてきた各事業と同じである。
施設福祉サービスは、治療の有無によって、老人居住福祉施設(養老施設)、老人医療福祉施設(治療施設)に大別される。その老人居住福祉施設は、入所者の費用負担能力や自立能力の程度によって養老施設、実費養老施設、有料養老施設、実費老人福祉住宅、有料老人福祉住宅に分けられる。その他、老人余暇福祉施設として、老人福祉会館、敬老堂、老人教室、老人休憩所などが整備されている。このように、介護保険前の日本の老人福祉サービスとほぼ同様のメニューである。
現在の韓国の老人福祉は、日本におけるその歩みと同じように推移しており、その延長として日本の介護保険に学ぼうとしている。いま、日本では、次期介護保険改正にその関心が向いているが、福祉の分野でもグローバリゼーションが叫ばれ、海外からの介護職に門戸を開放する方向にある今日、アジアにある近隣諸国の高齢化を次なるビジネスチャンスとして、視野に入れておくことも重要である。
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