介護予防訪問介護の報酬に関する基本的な考え方が示される
(2005.9.4更新)
8月16日に社会保障審議会「介護給付費分科会」の介護予防ワーキングチーム(WT)において検討されている、介護予防訪問介護の基準・報酬の基本的な考え方が示された。まず、現状の訪問介護サービスの利用状況が以下のように示された。
○要支援・要介護1(軽度者)のケアプランを見ると1種類のみの単品のケアプランが多い。
○訪問介護の利用額のうち、軽度者の利用額は、訪問介護の4割(17年4月分:590億円のうち232億円)を占めている。
○軽度者の利用の大部分が生活援助型である。また特に「清掃」の利用割合が約70%と大きい。
○軽度者は総じて食事の用意や家事一般等の日常生活上の基本的活動について、ほぼ自分で行うことが可能である。
また、社会保障審議会介護保険部会からは、利用者が自ら実施できるにも関わらず、掃除、調理等を利用者に代わって実施する「家事代行」型については、自立支援の観点から給付の対象、期間、方法について見直しを検討すべきである、との意見がだされた。
さらには、介護サービス従事者の研修体系のあり方(中間報告)では、現状の介護サービスの現場では、ともすれば「利用者が出来ないことを介護者が補う」という形でサービスが提供されがちであったことが、かえって利用者の心身機能の低下を招き、サービス依存を作りだしかねない結果を招いてきたとされた。これらの意見を受け、「介護予防訪問介護」サービスの基本的な位置づけ・考え方について次のように示された。
●介護予防の対象となる要支援者は、(1)食事の用意や家事一般等の基本的活動はほぼ自分で行うことが可能であること。(2)要介護状態となった原因疾患は、廃用症候群(生活不活発病)が多いこと。(3)状態の改善可能性は、かなり高いこと。などから、日常生活の活発化に資する通所系サービスを中心として生活機能の向上を図ることが基本的な利用形態となると考えられる。
●介護報酬の評価方法については、現行の時間単位の報酬設定では、サービス提供者側の長時間サービスを誘引しやすく、利用者の出来る行為もヘルパーが代わりにおこなってしまいがちになる。さらには、日常生活において必要な家事は一定量に収まるものであり、本人が一定程度実施できる場合には、他者が補完すべき行為の内容は、その必要量のなかで一定の範囲の量に限定されるはずである。などということから、時間単位の報酬設定を前提とせず、(1)月単位での定額払い、(2)掃除、洗濯の行為ごとの定額払い、(3)一定期間の月数を超えた場合に介護報酬を逓減する、などの案が検討されている。また、サービス区分についても、大半が「生活援助」を利用していることなどから「身体介護」との一本化をするべきであると考えられている。
このように、介護予防のためには、本人が出来ることは出来るだけ本人が行うこととし、その他に、地域のボランティアや配食サービスなど外部のサービスで代替することを進めるなど、事業者にとっては提供サービスの総量が減る方向である。
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