訪問介護の報酬・基準について検討始まる
(2005.11.11更新)
10月24日に開催された社会保障審議会「第32回介護給付費分科会」で訪問介護の報酬・基準の検討資料が出された。
その資料でふれられている「現状と課題」で利用状況は、平成17年5月中の訪問介護費用は、約606億円であり、介護サービスの約1割を占めている。要介護度別では、要支援・要介護1の軽度者が約4割を占めている。訪問介護の利用者数は約118万人であり、要支援・要介護1の軽度者が約6割を占めていると介護保険全体に占める軽度者の割合が高いことを示している。また、その提供しているサービスでは、生活援助中心であり、軽度者について要支援は約94%、要介護1は約77%が生活援助利用者である。
次に勤務形態・専門性について言及している。訪問介護の事業所に勤務する訪問介護員は「登録ヘルパー」が約40%を占めており、その勤務形態も自宅からの「直行・直帰」型が一般的である。この形態については、情報の共有化や技術蓄積が困難であり、チームとしてのケアが成り立ちにくいなどとケアの質の面からの問題が指摘されている。
また、ホームヘルパーについても、約7割が2級ヘルパーであり、介護福祉士は1割足らずである。養成時間が1650時間研修の介護福祉士と130時間研修のヘルパー2級とは大きな隔たりがあり、今後増加する認知症高齢者ケアへの対応を含め、専門性の確保からも研修体制の見直
し、強化が課題とされている。さらには、サービス提供責任者が日々のヘルパー業務に時間を割き、チームリーダーとしての役割を十分果たしていないとの指摘がなされている。
このような現状を踏まえ、見直しの基本的な考え方として、(1)将来的な「報酬体系の機能別再編」に向けた、身体介護、生活援助の取り扱いの見直し、(2)効果的・効率的なサービス提供の推進、(3)人材の「質的向上」とサービス提供「責任体制」の確保があげられている。
報酬体系の具体的な論点として次の3案が示されている。
(1)身体介護、生活介護とも現行どおり、「時間単位の評価」を維持しつつ、生活援助については、長時間利用の適正化を図る案。
(2)身体介護は現行どおり「時間単位の評価」、生活援助は「月単位の定額」とする案。
この(1)(2)は、いずれも身体介護と生活援助を区分して考えている。
(3)身体介護と生活援助を一本化する案である。
またその報酬水準については、具体的には示されず現行のサービス利用実態やヘルパーの雇用実態、地域差などを踏まえて検討するということである。
その他、サービスの「質の高い」事業所を評価するために、介護福祉士や1級ヘルパーを「サービス提供責任者」に配置した場合や介護福祉士の一定割合以上の配置などについて事業所単位の加算も検討されており、今後の行方に注目するところである。
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