「介護サービス情報の公表」
への対応 (2006.1.16更新)
昨年の2005(平成17)年6月29 日に「介護保険法等の一部を改正する法律」が公布された。いくつかの注目すべき点があるが、2006(平成18)年4月1日から施行される介護保険法第115条の29〜第115条の37関係として規定された「介護サービス情報の公表」についてふれる。
介護サービス情報の公表
介護サービス事業者は、介護サービスの内容及び事業者の運営状況に関する情報を都道府県知事に報告しなければならないこととし、都道府県知事は、報告を受けた情報について、調査を行い、公表することとした。 |
その介護サービス情報の公表の目的は、介護サービス利用者と介護サービス事業者との「情報の非対称性」、いわゆる情報量、内容、精度等の大きな格差から生じる、交渉力格差など利用者の不利状況を補完するものである。
基本的に事業者は年1回の介護サービス情報を公開する。その公開した情報について、都道府県が指定する調査機関の調査(原則1日)を受けなければならない。また、その調査および公表に伴う費用負担は、介護サービス事業者が負担するとされている(金額は未定だが、小規模な事業所の負担能力に配慮するとしている)。
「介護サービス情報の公表」(情報開示の標準化)については、これまでシルバーサービス振興会において平成15年度から2年間、2度にわたるモデル事業を通じて調査研究がされてきた。これまでに各サービスの基本情報項目(案)と調査情報項目(案)が報告されている。この項目以外に以下のようなものも、追加項目として国会で検討されている。
○ 従業員の在籍年数
○ 従業員への健康診断の実施
○ 夜間の勤務体制
○ 職員一人当たりの担当数
○ 認知症や感染症の研修の実施体制
○ 介護保険以外のサービスの料金体系などである。
当然ながら、サービスごとに各項目は異なるが、例として訪問介護の基本情報項目を見ると大きくは(1)運営法人の概要、(2)事業所の概要、(3)職員の体制、(4)利用料金等、(5)サービス内容、その他に分かれている。その詳細には、介護度ごとの利用者人数、身体介護、生活援助などサービス別の提供実績、サービス提供責任者における介護福祉士が何人、1級ヘルパーが何人など職種別職員の構成、1年間の職員数の増減などを詳しく公表することになる。利用者のための情報であるが、当然競合他社も介護支援専門員もすべてが見る事になる。いわゆる事業者相互が手の内を見せることになり、職員の定着率や資格者数などで比較されることにもなる。事業者にとってはすこし脅威かも知れないが、それぞれの項目をこれまで当たり前のようにしてきた事業者にとっては、良い広告媒体ともなる。現在、都道府県で調査計画が検討されており、早ければ4月早々から順次調査が入ることも考えられる。各項目へどの程度対応できているか、事前に自己評価をする時期に来ている。新年早々、その対応を急ぐ必要があるのではないか。
All Rights Reserved
Copyright (C) 1997-2006 MATURE LIFE Inc.
|