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軽度者に厳しい介護報酬 (2006.2.3更新)

 1 月26 日に開催された社会保障審議会「第39 回介護給付費分科会」で介護報酬・指定基準等の見直し案が公表された。(詳細についてはWAM-NET に掲載されている)
今回の改定は、(1)制度の持続可能性を図るための給付の効率化、(2)明るく活力ある超高齢社会の構築をめざすための予防重視型システムの導入、(3)社会保障の総合化をめざすための包括的マネジメント体制の確立など3つを基本的な視点としている。

 今後の高齢化の進展に備え、制度の維持可能性を高め、制度給付の効率化を図るため、これまでのサービス内容の見直し、給付の抑制、市町村の権限強化などが盛り込まれている。特に過去5年以上にわたり増加傾向にあり、その給付内容が問題視されてきた要支援・要介護1の軽度者の利用抑制が目立つ。なかでも訪問介護事業者や福祉用具事業者など、軽度利用者のサービス提供割合が高い事業者への影響が大きくなることは必定である。

 その見直し案の中からで訪問介護事業者に影響が大きいと思われる改定内容を紹介する。
特筆すべきは、新たに設けられる新予防給付である。軽度者であるこれまでの要支援、要介護1(約8 割程度)は新設される要支援Tおよび要支援Uに区分される。その支給限度額は、要支援Tが4970 単位(旧報酬要支援:6150 単位の約20%減)、要支援Uが10400 単位(旧報酬要介護T:16580 単位の約33%割減)と減額されている。さらに、介護報酬では、生活援助と身体介助の区分をなくし、月単位の定額として介護予防訪問介護T(週1回程度の利用)1234
単位/月、介護予防訪問介護U(週2回程度の利用)2468単位/月、介護予防訪問介護V(週2回以上の利用)4010単位/月を設定している。この報酬は旧報酬の生活援助1時間以内の291 単位で換算すれば、それぞれ月に4.24 回、8.48 回、13.78 回に相当する。一見するとこれまでの1月の訪問頻度的と大差はないが、生活援助で1時間以上の長時間サービスをおこなっても、収入は増えないということになる。

 さらに、第39 回介護給付費分科会の説明資料である「介護報酬等の改定について-骨子-」では、その対象者が利用できる介護予防訪問介護の利用条件が厳格に示されている。まず、本人が自力で家事等を行うことができない場合で、かつ家族等の支えあいや地域の福祉施策等の代替サービスが利用できない場合について、適切なマネジメントに基づき、サービスを提供できるとしている。読みかえれば、家族があり、地域のボランティアグループなどが支援できる場合は、代替サービスが先に提供され予防給付サービスが受けられないといえる。

 また、適切なマネジメントは地域包括支援センターが行うとしている。全国で準備が進められている地域包括支援センターは、その多くが市町村直営の形態をとるところが多いため、訪問事業者にとってこれまでより利用者との関係において距離が生じ、その多くは手の届かないところでケアプランが作成されることになる。つまり、生活援助の利用者数が全体に縮小されると共にそのサービスの提供量もかなり制限されるということになる。事業者自らが抱える利用者からその軽度者への対応策が急がれるであろう。


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