医療保健福祉審議会(老人保健福祉部会)の動き(H10.3.11更新)
昨年末の介護保険法成立を受け、医療保険福祉審議会では、毎月2回の審議が行われている。現時点では、6月に都道府県において試験を実施する「介護支援専門員」に関して様々な審議がなされている。
まず、2月17日に実施された第4回審議会では、標準テキストの内容や介護支援専門員養成の基本的な考え方(案)が示された。
ケアマネジャーとしての養成対象者は、医師、保健婦、看護婦、社会福祉士等の保健・医療・福祉の専門職のうち、一定の実務経験(5年)を有する者や専門職以外でも、現在、高齢者介護の現場で活躍している者でケアマネジメントを実施する能力のある者と広い範囲で設定している。
審議会の委員からは、4万人の養成ということから、あまりにも範囲を広げすぎ、質の担保が図れないのではないかという意見が多く聞かれた。また、医師のように現行の職務で守秘義務が求められている職種からそうでない職種に至るまでの広範囲で、プライバシーにかかわる守秘義務をどう保証するのかという懸念の声も多く出された。
3月9日の第5回審議会では、同審議会に対し厚生大臣から介護支援専門員に関する省令を制定するにあたって、介護支援専門員の定義、業務従事期間要件の該当者についての見解や介護支援専門員実務研修受講試験、修了証明書の交付、施行期日、経過措置などが示された諮問書が提出された。
- また、実務研修受講試験の対象者の範囲として、新たに
- ○精神薄弱児施設、肢体不自由児施設の児童相談員
- ○広域隣保活動の相談援助業務を行っている職員や生活相談員
- ○療育等支援施設事業における相談員、国立療養所等の児童指導員
- ○シニア住宅において主として相談援助を行っている職員
- ○ 手話通訳及び自立支援のための相談援助を行う者
などを加えた。
厚生省としては、このようにあらゆる職種、実務経験者まで対象範囲を広げ、入り口での門戸を広くしても、試験によって介護支援専門員の業務に関する基礎的な知識及び技能を有する事を確認することで一定の質の担保を図れると見ている。
試験そのものは、都道府県によってレベル格差が生じないように標準テキストの範囲で多くの問題をプールしておき、その組み合わせから試験問題を作るようである。しかし、現業職種が多く、全国一斉の実施日を取れないことや会場の手配等に関しては、まだまだ準備が整っていない。
その他、介護保険事業計画では、「介護保険事業に係わる保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(概ねの案)」が示された。
審議会委員からは、「県と市町村の責務が明示されているが、国の責務の明確化や財源的な支援等を明示すべきである。」また、「被保険者である地域住民の具体的な参画方法などをもっと明確にすべきではないか」という意見が出された。
これらの意見を受け、次回3月23日の審議会では参酌標準を除く基本指針が出される見込みである。 このように、重要な審議にも係わらず毎回審議時間を約2時間しか見込めず、多忙な審議委員の途中退室なども目立ち、追認的な審議になりがちなことが残念だ。
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